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M-TREC流アドオン制作講座ということで普段のアドオン制作の流れをつらつら紹介していきます。

制作対象の決定

ざっくり言ってしまえば「作りたいものを作る」に尽きます。そうした方が制作のモチベを保ったまま完成に持ち込みやすくなります。しかし、「あれ作りたいなー」と漠然と考えるだけではどうにもなりません。ここで自分の技量でその作りたいものが完成に持っていけるかどうか確かめてみる必要があります。

 

確かめる方法はいくつかあると思いますが、とりあえず1形態を1面描いてみるというのが一番手っ取り早いです。

 

それでしっくりくればその調子で作っていけばいいし、もししっくりこなかったのなら少し寝かせてもう1回描いてみるというのもいいと思います。何回か描き直していく間にしっくりくるものが描けると思います…

先日公開した103系の最初の姿がこちらです。(今となっては見るに堪えませんが…)

 

ここから車体の明暗や窓、屋根上の調整をしていったものがあのアドオンなわけです。時間を開けて細部の表現を確認してみて納得できない箇所が出てきたら修正する、その繰り返しでM-TRECのアドオンは作られています。

…とはいえ試しに1面描いてる段階ではそこまで詰める必要はないと思います。効率が悪いだけでなく、各方向描いているうちに気になる箇所が出てくるはずですので。

 

1面試しに描いてみて納得のいくものができたら本格的に制作を進めていきます。

下準備

制作する車両を決めたら、次はpngを作る前に車両の簡単な情報を頭に入れておきましょう。

ここでの簡単な情報とは、「その車両のうちどの形式が代表的な形式なのか」ということです。例えば…

103系→クハ103形(低運転台・高運転台ATC車・高運転台非ATC車)、クモハ103形、モハ103形、モハ102形、サハ103形

205系→クハ205形、モハ205形、モハ204形、サハ205形、サハ204形、クハ204形

といった具合になります。

大半の車両は製造両数の多さで決めればいいと思います。ここで注意すべきなのは、後の改造でできた番台区分や形式を含めないことです。あくまで新規製造された車両の多さで決めましょう。これも後々活きてきます。

 

代表的な形式を決めたらpngを作り始めます。先ほど決めた代表的な形式を元に、各形式の描く位置を決めます。205系の場合、

クハ205形

モハ205形

モハ204形・サハ205形(pak128無印では差がほぼ表現できないため同じ画像にします)

サハ204形

クハ204形

と配置します。奇数向き先頭車を一番上、偶数向き先頭車を一番下に、電動車をなるべく寄せて配置するとdatを描くときにわかりやすくなると思います。この配置は全てを通して固定してください。例えばサハ204形は京浜東北線や南武線には存在しませんが、その位置は空白にしておきます。クハ204形をその位置に描いてしまうと意味がなくなります。

png

次は実際に車両のグラフィックを描いていきます。細かい描き方については説明がめんどくさいのと自分が紹介するまでもないので省略して、主に色の決め方とパーツ分けについて紹介したいと思います。

 

ご存知の通りM-TRECは国鉄の鋼製車ばっかり作っているので、色を決めるのはあまり苦労しません。Wikipediaの国鉄色のページからRGB値を持ってきて、ゲーム内で浮かないように調整しているだけです。ただしマンセル値からRGB値に変換する方法が様々あるので、Wikipediaに載っているRGB値と実車の色があまりにも異なる場合があります。

そんなときはBトレwikiの色見本を使ってみるのも手です。体感的にはどちらかのサイトのものをベースに作ればさほど違和感なく仕上げられると思います。このサイトには国鉄制定色以外もいくつか掲載されているので使いやすいかもしれませんね。

次はパーツ分けについて。

png上での車両の形態差は塗装と屋根上くらいです(細かく見ればそんなことはありません)が、一般的に屋根上の方が種類が少なく共通化できる部分が多いです。ですので、屋根上の機器(ベンチレーターや冷房、パンタグラフ)と車体のパーツを分けておくと大量にアドオンを作るときに便利です。屋根上機器が異なる形式を作るときに一々屋根上をまっさらに戻す必要もなくなります。逆に屋根上の機器だけ違う車両を作るときにもすごく簡単に作れます。

例えば、先日公開した103系には大まかに下のような形態差があります。

 非冷房車→側面:方向幕なし、屋根上:ベンチレーターのみ、側面窓:田窓

 AU75冷房車→側面:方向幕あり、屋根上:ベンチレーターとAU75、側面窓:田窓

 JR西体質改善40N→側面:方向幕あり、屋根上:AU75のみ、側面窓:T字窓

車体はほぼ共通(40Nは違いますが)なので、方向幕と屋根上と側面窓のパーツを分けておけば簡単にpngを作ることができます。

ちなみに車体とその他パーツ以外ではレイヤー分けしていません。今さらそこを変えるのがめんどくさいので()

ja.tab

グラフィックと並行してja.tabも作っていきます。むしろja.tabを先に作るときもあります。

 

Simutransにおいてja.tabは単なる日本語に翻訳するためのツール、つまりアドオンが完成してから使うものですが、自分的にはアドオンを作るときにも役に立つものだと思っています。日本人作者にとって日本語の方が分かりやすいのは明らかです。

 

突然ですが、以下の文字列の意味が分かるでしょうか。

JRE_Mc'102-1200_Tozai_AU712_TH_LED

JRE_M103-0_Senseki2nd_AU75_NV_DSP

JRW_Tc103-2550_Uguisu+WL_WAU102_PV_WRS

JRW_Tc103-0Le_Setouchi_N_WAU102_RS_WC

JRW_Mc105-500_Hiroshima_WAU202_FL

JRE_T301-100_M301_Tozai_AU712+SIV

この文字列は大半の方には理解しがたいと思いますが、同様に作者である自分にとっても理解しにくいものです。M-TRECのアドオンは日本語の方をベースに原名を決めているので、原名だけ見ても理解できないのは当然です。原名を決めるときに重要視しているのは略号を使ってできるだけ簡潔にまとめることです。_1とか_2とかで車両を区分して車両を作った場合、datを書くときに意味が分からなくなるので形態差を原名でも表したいところです。

 

上の文字列の日本語訳がこちら。

JR東日本クモハ102形1200番台(東西線色・AU712・前面貫通幌設置・LED運行番号表示器)

JR東日本モハ103形0番台(2代目仙石線色・AU75・ベンチレーター撤去・シングルアームパンタ・第二パンタ装備)

JR西日本クハ103形2550番台(ウグイス+白帯・戸袋窓閉鎖・WAU102・ベンチレーター増設・白幕)

JR西日本クハ103形0番台(偶数・低運転台・瀬戸内色・戸袋窓閉鎖・WAU102・側面方向幕設置・トイレ設置)

JR西日本クモハ105形500番台(広島色・WAU202・床置)

JR東日本サハ301形100番台(モハ301形電装解除・東西線色・AU712+SIV)

原名よりははるかにわかりやすくなっているはずです。形態差を表す略語とその訳語は一対一対応にしておくと色々作るときに混乱せずに済みます。

 

略号は塗装と冷房の型番以外は基本2~3文字、そしてなるべく右に行くにつれて形態差が細かくなるように配置するようにしています。そのため必ずしも略号の順番が固定されているわけではありません。また、搭載している冷房が形式で1種類のみの場合(もしくは他の冷房を搭載している形態を無視する場合)は冷房の型番を省略することもあります。

 

ここまで見てわかるとは思いますが、M-TRECのja.tabは形態差を反映するためにいつも資料集めに苦労しているのが実情です。

ですので、いつもreadmeに書いているように必ずja.tabを導入してやってください。ささやかなお願いです。

資料収集

pngやja.tabを作るためにも必要ですが、datを作るためにも非常に重要なのが実車の資料です。資料収集の方法はいくつかありますが、手っ取り早くできる順に紹介していきます。

 

1.インターネットで集める

とりあえずはインターネット上で探してみましょう。Wikipediaだけではなく個人のサイトを巡っていると必要な資料が得られる可能性が上がります。国鉄車やJR車、メジャーな私鉄車を作るときには有効ですが、マイナーな私鉄車や極端に古い車両は見つけるのに苦労します。

 

2.書籍を集める

趣味雑誌などのバックナンバーを書店で探してみましょう。実際に購入してじっくり読むと新たな発見があるかもしれません。

 

3.博物館に行く

バックナンバーを手に入れることが難しそうであれば、博物館に行ってみましょう。大宮、京都ともに趣味雑誌を含めてまとまった数の書籍が所蔵されているので、何を調べるか決めておけば効率よく資料を得ることができます。

資料室の利用方法については各博物館のホームページを参照してください。

 

資料集めを突き詰めるとこうなります。

 

多少やり過ぎ感はありますが自分が納得するまでやってみるのもいかがでしょうか。

 

ただし、各雑誌、各サイトの情報がすべて正しいとは限らないので注意が必要です。

同じ形式の諸元や同じ車両の形態(冷房の種類など)が雑誌ごとに、さらには同じ雑誌でも号ごとに違うこともあります。その時は作者の判断でどれか一つに決めて採用しましょう。

dat

次はdatを書きます。大まかな書き方は日本語化wikiを参照してもらって、今回は連結設定と画像指定のコツについて紹介します。

 

連結設定の方はコツと言えるか微妙な感じですが、あまり深く考えずに作業で進めるといいです。

左の表をベースに実車の組成が再現できるように調整しています。

 

連結設定の一部に縛りをかけようとすると、連結設定の記述ミスや実車通りに組成できないなどのエラーが発生しやすくなるので避けたいところです。特に大量に作るときはその可能性が上がります。

続いて画像指定。こちらは連結設定よりも実用的なものになります。

pngを作る前に各形式の配置を決めて固定したと思いますが、ここで活きてきます。例えば京浜東北線205系では、

name=JRE_Tc205-0_KeihinTohoku

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.0.7

-------------------------------

(中略)

-------------------------------

name=JRE_T205-0_KeihinTohoku

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.2.7

-------------------------------

name=JRE_Tc'204-0_KeihinTohoku

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_KeihinTohoku.4.7

となります。

 

では次に埼京線の205系のdatを書くとします。この場合、埼京線には京浜東北線に存在しなかったサハ204形が存在するので追加しなければなりません。先ほど下準備の項目で決めたように上から4行目(画像指定上では3)にサハ204形を入れます。

name=JRE_Tc205-0_Saikyo

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_Saikyo.0.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_Saikyo.0.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_Saikyo.0.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_Saikyo.0.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_Saikyo.0.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_Saikyo.0.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_Saikyo.0.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_Saikyo.0.7

-------------------------------

(中略)

-------------------------------

name=JRE_T'204-0_Saikyo

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_Saikyo.3.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_Saikyo.3.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_Saikyo.3.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_Saikyo.3.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_Saikyo.3.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_Saikyo.3.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_Saikyo.3.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_Saikyo.3.7

-------------------------------

name=JRE_Tc'204-0_Saikyo

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_Saikyo.4.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_Saikyo.4.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_Saikyo.4.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_Saikyo.4.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_Saikyo.4.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_Saikyo.4.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_Saikyo.4.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_Saikyo.4.7

 

続いて、205系はJR化後にスカートの取り付けが行われているのでスカート付きの先頭車のdatを書きます。

name=JRE_Tc205-0_Saikyo_SK

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_Saikyo_SK.0.7

-------------------------------

name=JRE_Tc'204-0_Saikyo_SK

(中略)

EmptyImage[S]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.0 EmptyImage[E]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.1

EmptyImage[SE]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.2 EmptyImage[SW]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.3

EmptyImage[N]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.4 EmptyImage[W]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.5

EmptyImage[NW]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.6 EmptyImage[NE]=JRE_205-0_Saikyo_SK.4.7

 

このようにnameとpngファイルの名前を変えるだけで済みます。形式ごとに位置を固定せずに画像指定の行数部分(○○.x.△のx)をdat毎で変えていると、変え忘れたときに面倒なことになります。また、pngファイルでは2~4行目が空白になりますが、形式の位置が固定されるのでコピペによるミスも防ぐことができます。

pak化・試運転

png、ja.tab、datが完成したらpak化してエラーがないか確かめるために試運転をします。

購入費や維持費、出力の入力ミスや連結設定のエラー、描画位置のズレがないか十分に確認しましょう。

試運転で特に問題がなければそれで完成です。

長くなりましたがこれで以上となります。少しでもアドオン制作の参考になれば幸いです。

 

どうやら今自分が欲しいアドオンを書いていいみたいなので書いておきます。

奥行きの長さが半分の箱積み

小~中規模駅の駅舎

もう少し駅のパターンを増やせたらなーなんて思ってます。